デビュー戦でまとめて観られる興奮

プロ野球でもJリーグでも、新人選手がプロの世界に足を踏みいれる瞬間に立ち会えるのは、このうえなく興奮する。その選手がその後のプロ人生で大成すればするほど、デビュー戦はより一層思い出深い記憶として残るはずだ。
そんな興奮を存分に味わえるのが、競輪の「ルーキーシリーズ」だ。そこに並ぶ選手たちはすべて新人選手。彼らが紡ぐプロ人生の第一歩をいっせいに観られる絶好のチャンスだ。
そのルーキーシリーズは、4月30日(日)から開幕する。これは2020年から始まった大会で、日本競輪選手養成所を卒業したばかりの新人選手たちをイチ早く知ってもらうことを目的としたシリーズ。見どころはやはり多くの競輪ファンが見つめるなかで、いかにプロとしての自分の走りを見せつつ結果を出すかだ。
例年どおり、今年も4節が行なわれ、4月30日(日)~5月2日(火)が宇都宮競輪場で、5月5日(金)~7日(日)が四日市競輪場で、5月26日(金)~28日(日)が松戸競輪場で、6月1日(木)~3日(土)が福井競輪場で開催される。
出場するのは、この春卒業した123期生の男子と124期生の女子だが、ここでは女子の注目選手を紹介する。
女子の卒業生は全部で23人。養成所での約10カ月間の訓練で選手たちは記録会や同期選手とのレースを経て、1位から順に成績がつけられるが、上位に名を連ねた竹野百香、松井優佳、宇野紅音の3選手に、今の心境やルーキーシリーズでの意気込みを聞いた。
「不安」を抱えるなかで練習に励む
竹野は在所成績1位で、松井は2位、宇野は高卒後すぐの入所で4位の好成績を残すなど、いずれもルーキーシリーズで優勝を狙える位置にいる。とくに松井は3月1日~2日に行なわれた養成所での集大成「卒業記念レース」で、全4レース1着で優勝をもぎ取るなど、優勝候補筆頭と言えるだろう。
3月3日の卒業式から約2カ月が経とうとしている今、ルーキーシリーズに臨む彼女たちの心境は、どちらかというと不安が大きいようだ。
竹野は「練習をしないとすごく不安に思う」と語れば、宇野も「本当に不安しかない」という。松井は「不安」という言葉こそ口にしなかったが、「(最初のレースの)宇都宮は500mのバンクなので、そこは心配」と話した。
ただそれはプロへの階段を上る過程で、誰しも経験するもの。目利きの競輪ファンの前で走ることが、彼女たちにプレッシャーを与えるのは当然のことだろう。
現在はそれぞれが違った環境のなかで、プロとしての自覚を持ちながら練習を積み重ねているが、その意識が彼女たちをさらにバージョンアップさせているようだ。
「これまでは先生に言われたことをやっていただけですが、プロになってからは、自分が強くなるために、苦手な分野を探してそれを補う練習をしています。週6日練習をしていて、朝9時にバンクに入って、午後にジムにいったりして夕方くらいまで練習をしています」(宇野)
「今は男子の選手と練習をしていて、1本1本集中しないとすぐに離されてしまうので、ついていけるように頑張っています。卒業してから体重は変わっていませんが、結構体は絞れてきたので、いい感じかなと思います」(松井)
「今はホームバンクが使えないので街道での練習がメインなんですが、長い距離も短い距離も、これだけ練習していれば大丈夫かなくらいのところまできています」(竹野)
3人ともルーキーシリーズに向けた不安を振り払うように、練習に没頭している。とくに竹野は「練習量であれば、一番やっているかな」と語る。また宇野も「週1回の休みでも罪悪感を感じてしまう」ほど危機感が強い。
成績上位の彼女たちが不安を抱えていたり、高い意識で練習に臨んでいるのは、このルーキーシリーズで、本気で優勝を狙っているからにほかならない。そのうえで松井は「満足した内容で勝ちたい」と言い、竹野も「ファンの方が見ていて面白いレースをしたい」とレース展開についても追及していくつもりだ。

3選手は宇都宮で激突
竹野の強みは先行。レースの先頭を走って主導権を握る走りだ。しかしその分、風を受けるため体力の消耗が激しい。それでも本人は「先行一本」と宣言。「自分が一度決めたからには絶対に先行します。もし先行ができなかったとしても、絶対に自分でレースを動かしていきたい」とこだわりを見せる。だから「周りの選手はあまり関係ない」と強気だ。
松井は仕掛けるタイミングを冷静に見極めるタイプで、「行けるなと思ったタイミングで出し惜しみせずに行きたい」と語る。「気負いすぎず、気合を入れすぎず、いつも通りの走りをしたい」と平常心で臨むことを誓う。
宇野は養成所で400m独走タイム1位、200m独走タイム3位を記録するなどスプリント能力に長けている。卒業記念レースでは「後方の動きを見ながら自分のまくるタイミングを見極めていけた」と、後方から一気に勢いをつけて抜き去り1着で入った。この得意なパターンに持ち込めば、勝利に繋げられる力を持つ。
ルーキーシリーズは各節で14名が出場。初日と2日目に予選を行ない、最終3日目に決勝が開催される。人数が限られているため、竹野は宇都宮、四日市、松戸、松井は宇都宮と松戸、宇野は宇都宮と四日市に出場する予定。3人は第1節の宇都宮で顔を合わせることになった。
そして、ここに挙げた3選手だけでなく、実力のある選手、キラリと光る選手はまだまだいる。ガールズケイリンの次代を担う新人選手たちがつくる物語の1ページ目を、ぜひその目に焼きつけてほしい。
Profile
竹野百香(たけの・ももか)
2002年8月22日生まれ、三重県出身。154.6cm、59.9kg。高校から自転車競技を始め、2020JOCジュニアオリンピックスプリント2位、500mTT3位となる。頂点に立つことができなかったため、日本競輪選手養成所へ入所。在所成績1位で卒業した
松井優佳(まつい・ゆうか)
1999年4月27日生まれ、大阪府出身。164.2cm、61.5kg。高校から本格的に自転車競技を始め、高校総体女子ポイントレースで優勝するなど好成績を残す。大学でも自転車を続け、2022インカレスプリント500mTTで1位を獲得した。日本競輪選手養成所での在所成績は2位。
宇野紅音(うの・あかね)
2003年12月20日生まれ、岐阜県出身。156.0cm、61.8kg。高校から自転車競技を始め、2021全国高等学校選抜自転車競技大会500mTT3位、2020JCSPAジュニアサイクルスポーツ大会全国大会ケイリン4位の成績を残す。高校卒業後すぐに日本競輪選手養成所に入所し、4位の成績で卒業した。
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