回り道で夢つかんだガールズケイリンの新星 “自転車エリート”は養成所で屈辱味わった/競輪選手インタビュー

回り道で夢つかんだガールズケイリンの新星 “自転車エリート”は養成所で屈辱味わった/競輪選手インタビュー

日々熱き戦いを繰り広げているガールズケイリンの選手たち。今回クローズアップするのは4月にガールズフレッシュクイーンを制した小泉夢菜選手(24歳・埼玉=122期)。高校・大学で全国優勝を経験した“自転車エリート”は養成所で伸び悩み、最下位グループに入る屈辱を味わっていた。

1期生とのふれあいで芽生えた“夢”

自転車愛あふれる家庭で育った小泉。父や弟がロードレースの大会で活躍する姿を見て、小学6年生の頃に自転車競技生活はスタートした。

 あるとき弟の大会の応援でお台場に行くと、会場でガールズケイリンの特設ブースを見つける。ここでの1期生の選手とのふれあいを通じて、“自転車少女”小泉はガールズケイリン挑戦を決意。自転車競技の強豪・埼玉県立浦和工業高校へ進み、とことん自転車漬けのスクールライフを過ごした。

「高校時代は『オリンピックに出たい』

『どうやったら強くなれるか』

とそればかり考えていた。

その先には『ガールズケイリン選手になる』という夢を常に持って、練習をしていました」

視野を広げるため選んだ“回り道”

高校2年の時にはJOCジュニアオリンピック2種目で優勝。順風満帆な競技生活を送り、高校卒業後はすぐにガールズケイリン選手になるつもりだった。

 しかし高校3年で転機が訪れる。その実績からジュニアのナショナルチームに選出され、世界選手権への派遣が決定。大会前にスイスのWCC(ワールドサイクリングセンター)での事前トレーニングに参加したことで、気持ちに変化が芽生えたのだ。

「日本から、自分ひとりでトレーニングに参加したんです。1か月間の共同生活を通じて、いろんな国の選手と交流できました」

 流暢に英語が話せるわけではなかったが、身ぶり手ぶりを交えてコミュニケーションを図った。

「アフリカの同い年の選手と話をしていたら、自分の視野の狭さに気が付いたんです。もっとたくさん時間をかけて、視野を広げたいと思いました。それで大学に進学しようと」

 実りある海外遠征を終えて地元埼玉へ帰った小泉は、ガールズケイリン選手になる夢をいったん胸の奥へしまった。

大学時代に感じた苦悩と迷い

早稲田大学に合格し、自転車競技部に入部した小泉。実績は十分だったが、大学に進むと別の苦労が待ち受けていた。

「大学時代は一人暮らし。一番大変だったのは食事です。自分で作っていたんですが、体重が落ちてしまって競技にも影響が出てしまったんです」

 そこで小泉は栄養の勉強を始める。アスリートのパフォーマンス向上に特化した食事管理の資格『アスリートフードマイスター』を取得し、苦手だった自炊を克服した。

 それからは大学2年の時に全国大会で優勝。大きな達成感を味わう一方で、進路に迷いが生まれてしまったこともあった。 「高校でも大学でも全国で優勝できて、もう自転車はいいかな…と思ってしまった時期もありました。周りの同級生が就職活動を始めていたので、その影響もあって…。

自分も就職をして、会社員として働こうかと考えたこともあります」

 小学生の頃からの夢であるガールズケイリンに挑戦するか、就活に専念するか。人生を左右する決断は自分ひとりではできず、まわりの人に相談した。

「先輩に相談したら『ガールズケイリンに挑戦したほうがいい』と背中を押してくれたんです。後に師匠になってくれる國廣哲治さんを紹介してもらったのもこの時でした。養成所の試験に向けて不安もあったけど、國廣さんもすごく優しく接してくれて、何とか合格できました」

“自転車エリート”から一転、養成所では最下位ランクに…

そして2021年5月、日本競輪選手養成所へ入所した。

 実績は十分な小泉だったが、記録会での成績は伸び悩んだ。養成所でのランクを決める帽子の色は青で、最下位グループに入ってしまう。

「大学に入ったころがピークでしたね…。あのころは天狗になっていたのかもしれません。でも、養成所の生活は苦じゃなかった。栄養管理された食事が用意されるし、お風呂も沸かしてくれる。練習に専念できる環境でした」

 前向きな姿勢で鍛錬を重ねて最終的に成績を上げ、在所成績2位で卒業した。

 直後のルーキーシリーズでは2場所連続優勝。地元大宮で迎えた7月の本デビュー戦でも先輩レーサーを相手に初優勝を挙げた。

「養成所時代から先行したらダメダメだった。車券を買ってくれている人がいるので、自分の得意な戦術で全力を出すことを意識しました。私が得意なのは展開を読むこと。それを生かして、追い込みとまくりを中心に戦いました」

本デビュー戦以来の優勝で5代目フレッシュクイーンに輝く

4月から選手生活は2年目に入り、成長を感じるレースを続けている小泉。

 選考順位5位で臨んだ4月のガールズフレッシュクイーン(高知)ではあっと驚く直線一気の差し脚さく裂で優勝。同世代のトップに輝いた。

「自分が一番驚いています。前のほうにいないと、と思って臨みました。山口真未さんに合わされたときは苦しかったけど、番手に入ることができて、最後は何とか差すことができました」

 本デビュー戦からしばらく優勝から遠ざかっていたが、大舞台で今年の初優勝を達成し、今後の期待は高まるばかりだ。

「デビューしたときはいろんなことがうまくいきすぎた。しばらく優勝できなかったけど、焦らず地道にやっていたので、勝ててよかったです」

 “ガールズケイリン選手になる”という少女時代からの夢。紆余曲折こそあったが夢をつかみ、ようやくスタートを切った。長い自転車キャリアに裏付けされた抜群のレースセンスは目を見張るものがある。

今年は度胸満点の組み立ても増えてきて、さらなる飛躍が待っているだろう。

「プロの競輪選手になった以上、車券を買っている人がいることを忘れてはいけない。自分が出せる最高のパフォーマンスを出し切らないといけないと思っています」

 小泉夢菜の挑戦は、始まったばかりだ。

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